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素直になれなかった恋の結末(30代女性Tさんの場合)

素直になれなかった恋「チャンスの女神に後ろ髪はない」とはチャンスはあっという間に過ぎ去ってしまうので、好機を逃してはいけないという意味ですが、私の忘れられない恋愛は、正にそれを思い知らされたものでした。

彼とはとても親しい友人で、誰に関係を聞かれても「仲のいい友達」と答えていました。彼も同じように答えていたようです。

でも、何が恋のスイッチになるか分からないもの。当人同士をよそに、周りではお互いが好意を持っていると噂がたっていたのです。そして、それを友人の1人が私達の前でポロッと言ってしまいました。

不思議なものです。その瞬間から何かが変わりました。昨日まで全く気にならなかった彼の行動が、急に気になり始めたのです。

しかも回ってきた噂の内容は、どちらかというと私の方が彼を好きだというものでした。変にプライドが高かった私は、そんな噂が嫌だったのと素直になれない性格もあり、段々と彼に冷たい態度を取るようになりました…。

本当は彼への想いはどんどん強くなっていったのですが、今の関係を壊したくない思いもあり、彼との距離感を遠くしてしまったのです。一度「俺達、本当に付き合っちゃおうか」という言葉もあったのですが、その時も冗談として軽く受け流す態度を取ってしまいました。

噂がおさまった後に…

私は周囲の噂が沈静化したら、自然にうまくいくんじゃないかなんて軽く考えていました。今まで一緒に遊んでいて楽しかったし、元通りに、いえ、むしろお付き合いする方向に向かうのではないかと勝手に思っていたのです。

でも、世の中そんなに甘くないんですよね。

気が付いた頃には彼の気持ちはすっかり離れしまっていて、態度も前に比べてよそよそしいというか、他人行儀というか。とにかく、そっけなくなっていたんです。そう、彼には他に好きな人が出来ていたんですね。

「どうしてあの時素直になれなかったんだろう」

今でもそう思います。もしもあの時周りが噂をしなかったら、もしも友人が噂を口にしなかったら、もしも本音で向き合っていたら…

いくら「もしも」を並べても、もう時は戻りません。私は全てを他人のせいにして逃げていたんだと思います。「チャンスの女神に後ろ髪はない」と痛いほど思い知らされた切ない恋愛体験です。